3.ドリトルの特徴
ドリトルは次のような特徴を持っています。
・オブジェクト指向技術により、Officeソフトなど、複雑な機能を持つプログラム開発の現場で実際に行われているプログラミング技法と同じスタイルでのプログラミングを体験できます。
・ドリトルはクラスの定義が必要ないようにオブジェクトのプロタイプを最初から、持っています。
・その分身を作りながらプログラムをしていくため、初学者が使い始めたその日からプログラミングを楽しめます。(プロトタイプに基づくオブジェクト指向言語)
・オブジェクト指向言語というと「クラス」を思い浮かべる方が多いと思いますが、そこが初心者にとって、敷居の高いところとなっているため、ドリトルではクラスの定義が必要内容になっています。
3-1.オブジェクトとは?
さて、ここまでの説明で何度も「オブジェクト」という言葉が出てきました。これについて解説をします。
オブジェクトを直訳すると「もの」になります。
ドリトルでは数値、文字、図形など、すべてを「もの」(オブジェクト)として扱います。
オブジェクトは値と能力を持っており、オブジェクトに指令を送ることで、プログラムを実行できます。
または最初からドリトルが持っているオブジェクトを使って、新たにオブジェクトを作り出すだし、それらをそれらを組み合わせながらプログラムを作っていきます。
<Tips> *コンピュータの動きに合わせた手続き型プログラミング言語 Fortran,BASIC,COBOLなどの従来の言語は手続き型プログラミング言語と呼ばれ、コンピュータの実行手順を書き並べる形で記述します。コンピュータはメモリーにプログラムとデータを蓄え、CPUで一つ一つ命令を実行していますが、それを人間にわかりやすいように工夫することで生まれてきた言語が手続き型プログラミング言語です。そのため、条件分岐、繰り返し、アルゴリズムなど、実行の流れを中心にプログラムを考えてプログラミングをしていきます。しかし、手続き型プログラミング言語ではソフトウェアが大きくなるにつれて、この型の言語では生産効率が悪いことやバグの発見が困難なこと、複数のプログラマーでの分担作業が難しいことなどが問題となり、「構造化プログラミング」が推奨されました。 その後、「構造化プログラミング」がやりやすいPascalやCといったプログラミング言語も開発されましたが、手続き型言語であることには変わらず、巨大化するソフトウェア開発で様々な問題点がでてきました。 *人間の思考に合わせたオブジェクト指向言語 オブジェクト指向プログラミング言語は人間が物事を考えたり、理解する際に「もの」を最初に思い浮かべることに合わせ、開発されました。そのため、オブジェクト指向言語では「もの」(オブジェクト)に命令し、実行する形となっています。手続き型言のようにコンピュータの動きに合わせた発想ではなく、人間にとって、自然な発想でプログラミングができるようになっています。このことはオブジェクト指向言語の元祖といえるsmalltalkは「幼児にもプログラミングができる」ことを目標に開発されたということからからもうかがい知ることができます。 Java,C++といったオブジェクト指向言語が広く使われていますが、ドリトルの開発者 兼宗進氏は「初心者にとって使いやすいはずのオブジェクト指向言語であるはずであるのにJava,C++は初心者に難しい物になってしまっている。」と指摘しています。ドリトルはそういった思いから、誰でもプログラミングを楽しめる言語として開発をされています。 |
3-2.タートルオブジェクトを生成してみよう!
では、さっそく、タートルオブジェクトを生成してみましょう。
ドリトルの編集画面を表示して、次のように書いてください。
かめ太= タートル ! 作る。
*ドリトルには「タートルオブジェクト」は最初から備わっています。どのオブジェクトも、「作る」という命令を受け取ると自分の子分(分身)を作ります。タートルオブジェクトは、歩いたり、向きを変える等の能力を持っていますが、「作る」によって作られた子分もその能力を引き継いでいます。
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次にオブジェクトを動かしてみましょう。
かめ太 ! 100 歩く。
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オブジェクトをつくって、動かすことができました。
短いですが、これも立派なプログラムです。
次の章ではオブジェクトへの命令の仕方を学んでいきます。
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